7月1日に、平成21年度の自動車運送事業に係る交通事故要因分析報告書の
「社会的影響の大きい重大事故の要因分析」が公表されました。
重大事故16事例のうち5事例の事故要因が「過労運転」と分析されています。
今回から4回に分けて、重大事故16事例のうち、
トラック運転者による4事例を労務管理の面から考えてみたいと思います。
【事故事例⑫】 トラック運転手の居眠り運転による事故
『事故の概要』
高速道路走行中に居眠り運転を行ったことにより、
車線規制により走行車線で行われていた工事現場に突入する。
工事現場の作業員4名が死亡、2名が軽症を負った。
『事故に至るまでの運行状況および事故要因分析』
事故当日、運行管理者が遅刻したために、
点呼を受けずに営業所を出発(2時)。その約8時間後に事故が発生。
なお、事故日の2日前及び3日前は休日であったが、
運転者は休日の夜中から明け方にかけて、事業者に無許可で別運送会社の運転者として就業。
また、事故前日は拘束時間(16時間超)や休息期間(8時間未満)の改善基準違反。
これらにより運転者は過労状態となり居眠り運転を行った可能性が考えられる。
『労務管理面から問題点』
当運転者の事故日前1ヶ月間の拘束時間は262時間(8.7時間/日)、
休日数8日である。ただし、休日に他社で運転を行っている。
休日は、「何をしても自由な日」ではなく、
「疲労を解消するために休養する日」と指導する必要があります。
労務管理とは、就業中の管理だけでなく、
常にベストな体調で就業できるように体調を整えるよう従業員を指導することも含むと言えるでしょう。