春に「健康診断」を行う会社は多いようです。一言で健康診断といっても様々なものがあります。まず、健康の維持や病気の予防・早期発見のために行う健康診断があります。このうち、メタボ対策の健康診査を「特定健康診査」といい、国民健康保険や協会けんぽ、健康保険組合等が40~74歳の加入者に実施することが義務付けられています。
一方、労働災害防止を目的とする労働安全衛生法の健康診断があります。通常、会社で健康診断と言えばこちらを指します。会社は健康診断を実施することで労働者の健康状態を把握し適正な労務管理を行うことにより安全配慮義務を履行することになります。
健康診断には大きく分けて一般健康診断と危険有害業務を扱う特殊健康診断の2種類があります。一般健康診断は、労働者の雇入時健康診断と定期健康診断があります。定期健康診断は1年に1回の実施ですが、深夜の時間帯に働くなど体の負荷が高い場合は年に2回の実施となります。なお、深夜業務とは、深夜(午後10時~午前5時)の時間帯に労働が予定されているもので、月平均4回以上の深夜業務が年に2回の健康診断が必要となる目安とされています。
健康診断で重要なのは、実施後の措置です。
診断結果に異常の所見があった時は、医師の意見を聴かなければならず、必要がある場合は仕事の内容や労働時間の短縮等の措置を講じることが義務付けられています。
労務リスクを回避するためには、対象労働者の健康診断の完全実施、診断結果による適正な事後措置が必要です。そして、健康診断個人票を作成し5年間保存すること、労働基準監督署への定期健康診断結果報告等の事務処理も重要であり、健康情報を扱う担当者には守秘義務の厳守を徹底させましょう。
2010.4.19
物流ウィークリー 掲載記事より