3月になり気温が上昇しはじめましたが、依然景気は底冷え状態のようです。
雇用調整助成金を活用し従業員の雇用を維持してきたものの、
長引く不況に人員整理を考え始める会社も出てきたようです。
人員整理は、落ち度がない従業員を指名して会社の都合により一方的になされる解雇です。
軽率に行う人員整理は、解雇権の濫用で無効と判断され、労働トラブルへ発展する可能性があります。
人員整理を行うときは、次の条件を満たすことが必要です。
まず、『本当に人員整理する必要性』が問われます。
人員整理をしなければ、事業を継続することが困難なのでしょうか。
「不景気で、このままいけば赤字になる」「業績不振だから」という予防措置的な人員整理は認められず
解雇は無効となる可能性が高いです。
次に、『人員整理を回避する努力』が問われます。
例えば残業時間の制限、役員報酬の減額、希望退職を募るなど、人員整理を回避する為に
何を行ったかが問われます。
その上で、やはり何名かの人員を整理しなければ事業の継続が困難と考えられる上で、
次に問われるのが『対象者の選定は合理的であるか』です。
対象者を指名して行う解雇で、対象者への感情が入ることは避けなければなりません。
そこで、客観的かつ合理的な基準を作成し、これに基づいて公正に対象者を選定すること求められます。
最後に『整理手続は妥当か』が問われます。基準に基づき合理的に選定した対象者に、人員整理の必要性、整理の時期・規模、選定基準、解雇条件などを十分に説明し、理解を求める努力が必要です。誠意のない対応は反発を招き大きな労働トラブルへと発展する可能性があります。
人員整理が解雇権の濫用と見なされれば解雇は無効となります。その場合、指名された従業員は職場に復帰するか、または相当額の和解金を支払って退職していただくことになります。
人員整理は極力避けるべきであり、回避できない場合は十分な準備と、強い意志、そして最大限の配慮と誠意をもって行わないと大きなリスクを抱えることになります。
2010.3.15
物流ウィークリー 掲載記事より