全4回に分けて、未払賃金がどうして発生するのか、
また、未払賃金を発生させないためにはどうすればいいかをお伝えしてきました。
毎回、賃金については「労働時間」・「時間給」という時間の視点から考えてきました。
今回は、売上に連動する完全出来高制の給与について考えてみましょう。
会社と労働者は、雇用契約という『契約』で成り立っています。
契約は、お互いが納得すれば成立しますが、
雇用契約においては、労働者が不利になる契約となる可能性があるため、
労働者を保護する労働基準法等を遵守した内容であることが求められます。
その中で賃金について次の事が定められています。
「最低賃金」・・・地域別・産業別に定められた賃金の最低基準(時間給)
「割増賃金」・・・時間外・深夜・休日の労働時間には割増賃金が必要
つまり、労働者に支払う賃金には、「時間」というモノサシが必要です。
完全出来高制は、売上に応じて報酬を支払う制度です。
仕事のある時は、働けば働いただけの収入を得ることができ
従業員のモチベーションがあがる制度だと言われています。
反面、仕事がなければ売上はゼロとなり、
割の悪い仕事であれば長時間働いても売上は伸びず報酬も増えず、
モチベーションは下がります。
さらに、出来高制は労働時間に応じ一定額の賃金の保障が必要となる制度であり、
会社の都合で休業(労働時間をゼロ)にすれば休業手当の支払いが必要となります。
つまり、売上に連動した完全出来高制の給与はないことになります。
また、出来高給と言えども、
出来高に要した全労働時間(時間外労働を含めて)で割って求めた時間あたりの賃金を計算し、
時間外の労働時間については割増率を乗じて割増賃金を計算します。
労働時間と関係がないように見える出来高給(歩合給)でも、
やはり「時間」というモノサシで見る必要があります。